法令違反の内容と違反の効果

 1)行政処分
   刑事処分と行政処分が直結している。

事例1:産廃業のA社社長がささいな喧嘩から暴行罪で

    処罰され、罰金を払った。まもなく、多数の産

    廃業許可が一気に取消された。

   許可取消、不許可(営業許可・設置許可・広域認定など)、営業停止、

     行政命令(措置命令、改善命令)欠格要件該当(別紙「誓約書」参照」

   欠格要件該当者がいればその時点で許可取消に該当、または申請しても

   不許可処分になる。(なお、欠格要件該当の罰則付き届出義務あり)

   欠格の連鎖(将棋倒し)⇒取消の連鎖

   他法令への波及:建設業許可の取消など

事例2:産廃業者A社(代表者X)は、廃棄物処理法違

    反で許可が取消された。Xが非常勤取締役をし

    ている産廃業者B社も同様に取消された。B社

    の一廃関係許可(収集運搬業、処分業、特定施    

    設)も取消された。 

 2)刑事処分刑事罰(懲役、禁錮、罰金など)

   *廃棄物処理法ほか環境法令違反の場合は罰金刑で欠格に該当するから

    許可の取消に直結。廃棄物処理法違反だけではない。

   (誓約書)廃棄物処理法は両罰規定(法人・事業主と担当役員・担当者

    の処罰)が多い。

   一定の刑事罰⇒欠格要件該当⇒行政処分(許可取消)への波及

 3)民事賠償責任

   廃棄物処理委託契約(原則:2者契約)に基づく損害賠償責任不法行為

  に基づく損害賠償責任

法令違反への対策

 行政処分、刑事処分、民事責任を回避することが最低限の眼目である。これ

がすなわち、間違いなくコンプライアンス(順法経営)の重要な部分である。 

 1)リスク回避の予防策

  最低限、欠格要件(「誓約書」に列挙)に該当しないようにする。
  ① 法令遵守(コンプライアンス)
     普段から不断の実行
     廃棄物処理法の徹底遵守(特に、契約書・マニフェスト・
     法定
帳簿)あらゆる法令が対象(道交法、会社法、証券取
     引法、宅地建物取引業
法、建設業法、都市計画法、建築基
     準法、刑法、条例など)法令だけではない。
     ガイドライン各種や行政指導(通知、要綱、口頭など)も
     含めて遵守したほうが現実的株式会社の役員定時改選の登
     記(重任に注意)
② 廃棄物部門とその他の事業部門の分離(別会社)
     会社分割、営業譲渡、別会社設立、合併など
     会社分割は安全か(人的物的に完璧分離でないと効果的で
     はない)

   ③ 欠格要件該当者の排除
     対象者全員(役員、顧問・相談役、5%以上株主など)
     不断にチェック
     自己申告を鵜呑みにしない
     「恐れ」条項(「誓約書」参照)
     
登記とタイミング
     社内体制の整備など
     研修(法令知識の勉強)(全社、取引業者)
     法令・行政指導の変動に注意
事例3:A社は産廃の中間処理業(破砕)者であるが、

    自社で破砕した後、自社で焼却しているがその

    許可は取っていない。その後、焼却灰を自社物

    としてX県にある正規の埋立処分場に運搬した

    この収集運搬業許可は持っていない。これで問

    題ないか。

     自己に有利な解釈の回避
     有資格者だからといって盲信しない。産廃法令に精通した
     専門家に相談する。(神経科に行って腹痛を訴える?)

 2)事後的な対策
  行政処分、刑事処分、民事責任に連なる事故を前提に考える。
  最低限、下記いずれもこの3方向から対処することが必要である。
  その中でも、もっとも重要なのは企業の滅亡に直結する欠格要件
  に該当しないようにする対策が問題となる。 

 Ⅰ.事故が発生しそうなとき
  )事故の発生源からの対処
   ①個人的な事故
     個人的な事故といっても無視できない。
     刑事事件として顕在化していない場合(横領、背任など)
     誰に起きそうか(役員など、運転手)         
   
②企業としての事故
     欠格要件該当性が潜在的な場合
     廃棄物処理法違反の取引

  )欠格要件の面からの対処
   役員・株主等の異動タイミング
   事件時、起訴時、確定判決時
   間違えると「飛んで火に入る夏の虫」
   刑事事件としての立件前・立件後
   行政事件手続法の聴聞通知前・聴聞通知後
   廃業届

 Ⅱ.事故が起きたとき
    欠格要件に該当する可能性があるかどうかの検討がまず大事

事例4:産廃業のA社社長Xが廃棄物処理法違反起訴さ

    れたのであわてて役員から下り、社外の後継者

    (子供)Yを代表者にした。

    その後、AとXは有罪となり、Aは許可が取消

    された。

    この処理は適当か。

     ○起訴前勾留
      ・略式裁判か正式裁判のいずれかを選択できる場合の比
       較検討

      ・準備(後継者・役員の異動タイミングなど)
     ○起訴後
      ・略式裁判(即日判決)
      ・正式裁判(一定の時間がかかる。)
       時間的猶予、企業存続上の対策
     ○有罪判決後
      ・欠格要件に該当するかどうかで対策が変わる。
      ・行政事件手続法の聴聞通知前・聴聞通知後刑事事件で
       有罪が確定している場合などは聴聞手続がない。
      ・聴聞通知前60日以内の役員等が問題

 Ⅲ.事業存続の方法
   欠格要件に該当するおそれがあるときあるいは、それに該当し
  たときは以下の方策が考えられる。ケースによって対策が異なる
  から要注意。

 1)欠格要件該当可能性の排除
   役員、株主など人的処理
   廃業届(しかし、万全ではない。「誓約書」参照)
 2)事業の譲渡
   行政処分前
 3)事業の分割(分社)
   役員(監査役、会計参与を含む)・株主・顧問・相談役だけで
   なく事務員なども分離する。名前だけの別会社では、事件がお
   きたとき同一企業と見られてしまう。
 
4)新会社の設立と産廃許可の取得

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