改正廃棄物処理法が平成23年4月1日から施行されることが決定し、ようやく政令の全貌が明らかになりました。 しかし、具体的な変更点は、詳細を定める省令の公布まで待たなくてはなりません(予定では平成23年1月頃)。
省令が公布されるまでは「見込み」になってしまいますが、以下に、現在の段階で重要と思われる事項をお知らせしますので参照ください。 詳細については個別にご説明しますので、ご質問、ご相談等があれば何でもご連絡ください。 
 
1.収集運搬業許可が都道府県許可単位に
1)政令27条第1項の概要

【原則】
  
産業廃棄物収集運搬業許可(積替保管を除く)については都道府県知事の権限。 
【例外】 一の指定都市の管轄区域内のみにおいて収集運搬を行う場合は指定都市の長の権限。
(2)具体的な取扱
既存の許可業者の取扱は、現在分かっている範囲では、次のようになる見込みです。
【原則】  平成23年4月1日の施行の時点で政令市の許可は無効になります。 
【例外】  次のような場合は、政令市の許可が期限まで有効になります。 

①県の許可がなく、政令市でしか許可を持っていない場合

      同一県内では、政令市内でだけ、期限まで運搬ができます。
     ⇒県内の他の地域へ運搬する場合は、別途新規許可が必要です。
②県の許可品目(5)より政令市の許可品目(7)が多い場合
      政令市内でのみ、7品目が運搬できます。 

     ⇒県でも同じ品目が必要な場合は、変更許可申請が必要です。
2.特例優良許可業者の許可期限が7年に
 環境省が定める「優良性評価制度」の基準が追加され、これに適合した事業者は、
許可期限が5年から7年に延長されます。
5年の更新許可申請と同時に各自治体に適合申請をするのが原則ですが、施行前に更新を迎えた事業者も申請はできるようです。詳細はこれから発表されます。
 
3.マニフェストの交付を受ける義務 
(改正法12条の4第2項)
 これまで、マニフェストの交付は排出事業者だけの義務でしたが、今回の改正で処理業者にもマニフェストを受け取る義務が課されました。マニフェストなしで荷物を受けると、6ヶ月以下の懲役、50万円以下の罰金の対象となります。
 
4.欠格要件の無限連鎖の廃止 
 欠格要件そのものが変わったわけではありませんのでご注意ください。 今までどおり、役員個人が「酒場でケンカした」「重大な交通事故を起こしてしまった」といった場合でも許可は取り消されます。 変わった点は「無限連鎖」が廃止された点です。 改正後は、1社目(1次連鎖)は今までどおりですが、2社目(2次連鎖)以降は「重大な違反」 (不法投棄、無許可営業等)の場合のみ処分を受けることになります。
 
5.処理困難(ギブアップ)通知の義務化
  処理業者が運搬や処分を適正に行なうことが困難になった場合には、その旨を委託契約を締結した排出者全員に10日以内に書面で通知しなければなりません。
 
6.建設廃棄物に関する規制強化
不法投棄が多い建設系廃棄物について、今までは政令や通知で定められていた元請の排 出事業者責任や、下請けの責任が法律に明記され、重くなっています。
1  元請業者の排出事業者責任を明文化(法第21条の3第1項)

 法律今まで通知等で示されていた責任が、上明確化されました。  下請業者は、今までどおり産業廃棄物の許可が必要です。  
 2
下請け業者への保管基準の適用(法第21条の3第2項)

 改正前には曖昧だった下請け業者の責任を明確にし、保管基準(罰則を含む を適用しています。

下請業者の排出責任(法第21条の3第2項) 

 「下請業者が排出元になってよい」という内容ではなく、下請の責任の強化です。
 例えば①元請が処理委託をしないのでやむを得ず下請が委託した②下請が勝手に処理委託をしてしまった、
 という場合、今まで下請の責任を問えなかったため法定したということです。   



下請業者の収集運搬業許可の特例(法第21条の3第3項)
 
 壁紙の張替のような、ごく小規模な改修工事については、下請業者でも収集運搬業許可が不要となる場合があります。 しかし、1立方メートル未満、元請の設置した同県内の場所にしか運搬できない、契約書に明記、など要件が厳しく、この全てを満たすのは大変です。むしろ、今まで許可を取っていない小規模な事業者が、元請から産業廃棄物収集運搬業許可を取るよう求められるケースが増えるかもしれません。   

 5 建設廃棄物の事業場外保管の届出(法12条、法12条の2) 
 
 元請業者が300㎡以上の保管場所を排出事業場所以外に設けるときに行なう届出です。保管場所を予め行政が把握し、不適正保管を防止するために、事前の届出が必要です。 
7.排出事業者に関する規制強化
 以下のように規制が強化されました。
 1  自社処理帳簿の義務化

①排出事業場の外で自ら処分を行なう場合 ②許可対象外の小規模焼却炉で自ら処分を行なう場合 

  現地確認の努力義務化 

排出事業者に、産業廃棄物の処理の状況(現地確認)が法定されました。今回の法改正では努力義務ですが、法定されたことで、処理業者(収集運搬、処分)への問い合わせや現地訪問は増加するでしょう。


  A票保存の義務化 

これまで保存が不要だったA票を5年間保存することを義務化しました。 既に保存している事業者が多いと思われますが、マニフェスト等の法令知識が不足している中小の事業者には注意が必要です。

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